プレミアムフライデーが広まらない理由

プレミアムフライデーの導入

2017年2月、日本国政府と経済界が大々的に打ち出した施策があります。
「プレミアムフライデー」です。
既に遠い昔の話に聴こえる人も少なくないでしょう。

そもそもこの制度は、
給料日直後に該当しやすい月末の金曜日は15:00に仕事を終わらせて、
パーッとお金を使いましょうという目的で創設されました。

しかし実施日以降早々に、
「月末の忙しい時期に15:00になんか帰れるわけがない」
「飲食店はいい迷惑。労働者側はどうすればいいんだ!」
という様々な意見があがり、結局継続導入できている会社は、
全企業のほんの数パーセント程度という状況です。

そのうえ、最近政府や経済界ですら、この制度の話をしなくなっている気がしませんか?
その理由は非常に簡単で、「自分達も出来ていないから」です。

これを証明するには、
プレミアムフライデーを主導して来た人物や組織の月末金曜日の動向を抑えなければなりません。
普通に考えたら、個人情報漏えいに対して敏感な現代社会において、
調査をすることは一般人の筆者にとっては非常に難しいことです。

しかし、そんな筆者にも1名だけ過去の行動も含め、
細かい動向を掴める人物がいます。
それは、安倍首相です。

首相は、毎日首相官邸や新聞社から、何時に何をしたかを報道されているのです。
それをたどれば、月末金曜日に安倍首相は本当にプレミアムフライデーを実践していたのかを、
調べることが出来ます。

2017年2月からの安倍首相の月末金曜日の同行

まず華々しくスタートした初回の2月24日

15:01 東京・上野公園の国立西洋美術館。
芸術イベント「フライデー・ナイト・ミュージアム@上野」の開会式。
ミニコンサート鑑賞。
公務とはいえ、「座禅を組んだ」などFacebookでもアピールしており、
実施出来ていると言えるでしょう。
しかし本来の目的である「パーッと何かに消費をする」という印象はないですが…

続いて、2回目の3月31日
15:16 私邸。
ちゃんと家に帰ってますね。
その後軽井沢の別荘に行って、秘書官らと焼き肉を食べたようです。
これぞプレミアムなフライデーですね。

3回目の4月28日、4回目の5月26日
4月はロシアに外遊、5月はイタリアでG7首脳会談。
3回目にして微妙です。
確かにG7などは相当前から予定が入っているはずなので、
調整することが無理といえば無理なのですが、
こんなにも早く途切れるものなんですね。

5回目の6月30日
16:32 自民党都議選候補者の演説会に出席。
完全にアウトですね。
演説会を見に来た人は誰も突っ込まなかったのでしょうか?

6回目の7月28日
16:10 秘書官と食事。
17:48 私邸。
この日は地味ですが、一応合格ラインではないかと思います。

7回目の8月25日
15:00 国家安全保障局長、内閣情報官ら。
これも完全にアウトです。
15時から普通に仕事をしています。

8回目の9月29日
15:00 内閣情報館。
その後、川口駅前にて街頭演説をしています。
この日も普通に仕事をしてますね。

9回目の10月27日
15:18 自民党選対委員長。
その後も国際会議のレセプションに出席しており、
この頃にはプレミアムフライデーの事は頭に無いのだと思います。

10回目の11月24日
15:10 財務相、財務省事務次官、主税局長ら
その後NHKのインタビューも受けています。
取材陣も含め、その場にいる全員が実施できていないですね。
誰もプレミアムフライデーについては聴かなかったのでしょうか?

11回目の12月29日
この日は朝からゴルフに出かけています。
やっとプレミアムフライデーです。
といっても、もう年末休みだったというだけですが。

このように過去11回あった月末金曜日に首相が、
プレミアムフライデーを実施したと言えるのは、
僅か3回程度でした。

果たして国民に浸透する日が来るのか?

この様に主導をしていた側のトップである、
首相が最初の2ヶ月でほぼ挫折しており、
途中地味に1回復活させてはいるものの、
プレミアムとは程遠い内容となっています。

これでは国民に浸透することはまずありえないので、
浸透するとすれば、主導側が完璧に実践し続けることが、
求められるのだと思います。


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