土地の価値は住所で決まる?

路線価の役割

「あなたの自宅の土地はいくらですか?」という質問に対して、
即答できる人は少ないと思います。
それは土地の時価は市況や購入者の思惑や属性によって、
変動するからです。
つまり、時価があって売買が行われるのではなく、
売買が成立した価格が時価ということになります。

しかし、それでは困る場合があります。
例えば税金の計算です。
土地の価格がわからなければ、課税が出来ないからです。
そこで税務当局では、この問題を解決するために、
路線価や固定資産税評価額といった価格を算出しています。
特に路線価は毎年更新されており、
国税庁のHPから誰でも無料で閲覧可能です。

また、路線価は相続税や贈与税の計算以外にも、
銀行の担保評価や売買価格決定のための参考値としても利用されています。

路線価から見る地域格差

この路線価は東京23区内であれば、どこでも付けられているので、
自身の所有している土地だけでなく、23区内全ての路線価を見ることが出来ます。

適当に眺めているだけでもなかなか面白く、新しい発見もあります。
例えば、本来道路に面している土地は両側とも同じ路線価なのですが、
その道路が区堺や県堺になっていると、違う場合があります。

台東区上野3丁目と千代田区外神田5丁目は、
道路の真ん中が区界となっています。
平成29年度の路線価をみると、
台東区上野3丁目側の路線価は690千円/㎡、
千代田区外神田5丁目側の路線価は730円/㎡です。
どちらも同じ建蔽率と容積率なので、
建てられるビルの大きさは変わりません。
この差は何でしょうか?
これはわかりやすく単純に住所の可能性が高いです。

千代田区は国会議事堂、霞が関、東京駅や丸の内と
まさに政・官・民の頂点が集う自治体です。
都心という言葉も千代田区が中心の地域を指します。

一方で台東区は下町を象徴する自治体で、
浅草・上野などは、国内外問わず連日観光客で賑わっています。
確かに23区の中でも有名な方ではありますが、
ほぼ同じ場所に千代田区の住所が選べるということになれば、
そちらに流れるのでしょう。
それがこの両サイドの格差の原因ではないかと思います。

東京都と埼玉県

同様の事例はまだあります。
練馬区西大泉町と埼玉県新座市片山3丁目です。
練馬区西大泉町は非常に特殊な地域で、練馬区なのですが、
周囲は全て埼玉県新座市という飛び地に存在します。
ここの路線価を調べると、平成29年度は、
西大泉町の路線価は160千円/㎡、
周りの新座市片山3丁目の路線価は120千円/㎡です。
この差の理由も先ほどと同様に住所です。
東京都23区と埼玉県ではこれだけの差(30%超)になるのです。

このように路線価をよく見ると住所だけでも、
土地の価格に大きな影響があることがわかるかと思います。

是非、路線価図で色々な土地を調べてみてください。


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