自分の相続よりも家族の相続を考えてみる
皆様はご自身が誰の相続人になるのか、考えたことはあるでしょうか?
ご自身の相続人をご存知の方は多いですが、その逆を考えることは意外とないものです。
例えばご両親が健在で、ご主人と小学生の子供が2名いる方の場合、この5名のどなたが亡くなっても相続人となります。
しかし今後ご主人と離婚し、子供は結婚し孫が生まれた場合、あなたはご両親の相続人にしかなりません。
このように家族構成やタイミングによって相続人となるケースは変化するのです。
亡くなった方が生前に相続対策をしっかりと行っていれば、問題はないのですが、対策が行われていない方の相続人になってしまった場合には、
他の相続人と色々なトラブルが発生する可能性があります。
「突然相続人だと言われても、何が何だかわからない…」では済まされないのです。
他の相続人を把握しておくことの重要性
現在、あなたが相続人になる可能性のある人と確認と同じくらい他の相続人の把握も重要です。
例えば親が亡くなった場合は、相続人はあなたとあなたの兄弟姉妹です。(一次相続の場合は残りの親も相続人です。)
これは想定している方も多いと思います。
しかし、子供がいないご夫婦であなたの配偶者が亡くなったとしたらどうでしょうか。
この場合相続人はあなたと配偶者の親もしくは兄弟姉妹になります。
想定していない方も多いですが、このケースはいつかは発生します。
特に問題になるのは、配偶者の親が既に亡くなり、配偶者が多くの財産を相続した後に亡くなった場合です。
相続人はあなたと配偶者の兄弟姉妹になるのですが、法定相続分はあなたが3/4で兄弟姉妹が1/4となるので、配偶者一族の財産の多くが流出してしまうことになります。
これは事前の対策が必要なパターンの1つと言えるでしょう。
遺言書は必須の相続対策
あなたが相続人になった場合、亡くなった方の遺言書が無ければ、遺産分割は法定相続分が基準となり、これは相続人の構成によって変わります。
従いまして一括りに相続人と言っても状況によって相続出来る金額が違うのです。
それを踏まえた上で遺産分割協議を行い、相続人全員が同意することで成立します。
一人でも納得できない相続人がいれば、調停や審判に繋がる可能性があります。
仮に相続人があなたと亡くなった配偶者の兄弟姉妹だったらどうでしょうか。
ほとんど面識すらないということもあり揉める可能性は高いです。
このような争いを避ける為には、配偶者に遺言書の作成をしてもらうことです。
遺言書があれば、その内容通りの遺産分割が実行されるので、相続人間で遺産分割の話し合いも不要になります。
ここで気を付けて頂きたいのは遺留分です。遺留分とは各法定相続人が主張することが出来る最低限度の取り分のことです。
つまり遺言書の内容があまりにも極端な内容になっている場合には、
遺留分以下の財産しか相続出来なかった人は多くもらった人に「自分にもっと渡せ!」と請求することが出来るのです。
こういった形で揉めてしまうと遺言書を書いた意味があまりないです。
従いましてあなたが相続人になった場合に仮に遺言書が出てきたとしてもトラブルに巻き込まれる(場合によっては巻き込む?)可能性はありますので、
十分気を付けて頂くとともに、遺言書を書かれた方に内容は聴かないまでも、「遺留分は大丈夫?」と一言確認しておかれても良いかと思います。
相続は“争族”とも言われるほど、相続人同士の争いに発展するケースが多く、また一度関係がこじれてしまうと元に戻すのは困難です。
あなたの相続だけではなく、あなたが相続人になる場合のことも是非考えてみてください。