社会人になって約30年。
証券、銀行、生保と金融業界での経験を重ねて、
IFA(独立系金融アドバイザー)となられた滝田泰美さん。
これまでの仕事との違いはどこにあるでしょうか。
お客様とのお付き合いの様子を詳しく伺います。
転勤・定年がないから、お客様に本当の意味で寄り添って提案し続けられる
―IFA(Independent Financial Adviser)とは独立系の金融アドバイザーですね。
はい。どこの金融機関にも属さずに、中立公正な立場でアドバイスができる職種です。
小泉政権下にあった2004年の法改正で金融商品中開仲介業制度ができたのを機に始まりました。
それでも日本ではまだあまり知られていませんが、アメリカでは証券会社の営業約7万強に対し、
IFAに相当する金融アドバイザーも6万人強いると言われています。
日本のように一人のお客様に対して銀行からも証券会社からも保険会社からも営業社員が、
お伺いするのではなく、
一人のIFAが総合的に考えてそのお客様に適した金融サービスや商品をご提案できるわけですね。
私自身は、知り合いが大手証券会社のなかでIFA業務を推進していたり、
また既に独立してIFAとして会社経営していた方もおられて話は聞いていて、
かねてから興味を持っていたのです。
―IFAになられて、お客様への接し方に変化はありましたか?
転勤と定年がないので、長期にわたってお客様とお付き合いできることですね。
証券会社でも銀行でも、3年くらいで異動や担当代えがつき物ですが、
そうするとお客様と話していたことがうまく引き継げないこともあります。
例えば、この資金はお子さんの学資用として投資していたものが、
次の担当者が把握していずに他の投資に回してしまったり、
当のお客様自身もよく覚えておられなかったりなどですね。
資金は目的に応じて運用の仕方も期間も変わってきますから、
長い目でのお付き合いは大切なことです。
また、昔からのお客様である中小企業経営者の方に、
IFAになってご挨拶させていただいたときに、「やっと同じ立場になれたね」と言われて、
一気に距離が近くなったと感じたこともあります。
銀行員というサラリーマンには、やはり全てをさらけ出してくださるわけではないんですね。
その方も、それまでは黙っておられた、
過去に失敗された商品のことなども知らせてくださるようになりました。
そもそも、証券時代には、お客様がお預けくださる金額は投資商品という性格上、
その方の全財産の1~3割程度に留まっていましたが、
銀行では全財産に近い金額を託してくださるものです。
それが、IFAとなって全ての金融商品を扱える立場となると、さらに広く、
本当に全てをお任せいただけるようにもなり、改めて責任を感じますね。
―金融商品を、垣根無しにご提案できるのは、たしかに大きな違いですね。
そうなんです。ですから、最初は奥さまに医療保険についてのご相談を受けてお話していたら、
安心されたのか、いろいろなお話になってご主人をご紹介くださったところ、
億単位の投資をされていたこともあります。
一緒に全体を見直して欲しいと言われ、かなりの額をお預けいただくこととなりました。
ノルマがあってのお話ではないですから、信頼関係にもつながるということでしょう。
NISAや確定拠出年金・・・、新しいサービスにも関心をもってもらいたい
―滝田さんのお客様がどのような方が多いのですか?
年代で言えば60代が多いですね。
私自身、証券会社での経験が最も長かったですから、
富裕層の方への資産運用のご提案が多くなっています。
あとは30~40代の方の保険見直しなどですね。
あとは、私の娘が最近社会人になったのですが、
若い世代に向けて資産形成の啓発、啓蒙もやっていきたいですね。
積み立てでもNISAでも、いろいろなやり方や制度があることを知ってもらいたいです。
面白かったのは、娘が会社で確定拠出年金があり、
最高で2万7500円まで毎月積み立てられるのですが、
周りに聞くと給与の手取り額が減るからと月々せいぜい1000円や5000円、
なかにはやらないという人もいるというのです。
それでも満額やりなさいと勧めて、半年ほど経って明細を見せてもらったところ、
かなりの高利回りで運用されていて驚きました。
計算したところ、このままだと40年後には億単位になると伝えたら娘も大喜びで(笑)。
社会人なり立ての人に金融知識がないのは残念ですから、
教えてあげたいなと思いますね。
もちろん若い人だけでなく、経営者とお話していても、確定拠出年金はやってはいるけれど、
パスワードが面倒でほとんど中身をチェックしていないとおっしゃる方が多いのです。
見せていただくと、何年も経つのに利息が4円しかなかったりして、
よく見ると定期預金にしてあるので増えないんですね。
その場でポートフォリオをいくつか提案して、
次にお会いしたら既に数千円増えていたということもありました。
そんな風に、いろいろとお話していく中で他の金融商品の領域に話題が移っていくことも多く、
波及効果を感じますね。
何か、滞っていたものが流れ出すような瞬間というのがあるものです。
今は、iDeCoも主婦でも公務員でもできるようになっていたりと、
新しい金融商品、サービスが次々に出てきている時代です。
メディアが取り上げることで興味を持つ方も多く、
ぜひ私たちIFAにもご相談をしてみていただきたいですね。
滝田さんの「キャリア」に関する記事はこちら
滝田泰美(たきたやすみ)さんのプロフィール
神奈川県横浜市出身。東京都大田区在住。
1987年新卒で証券会社に入社し、その後、大手銀行、外資系生命保険会社を経て、2009年に独立。
現在は株式会社ジートレンドに所属し、IFA(証券仲介業者)および保険プランナーとして活躍中。
証券から保険に渡る豊富な金融知識と実務経験を有し、
若い方からご年配の方まで幅広い層から支持を得ている。
生命保険修士会副会長。
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