トライしやすい投資信託以外にも、国内外の不動産投資も射程に 幅広い選択肢からリスク・リターンやバランスを考えて提案

大手証券会社の富裕層向け資産運用コンサルタントから、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして会社の立ち上げに参画した田中久登さん。後編では、投資についての考え方やお客様とのエピソードなどを伺います。

 

保険や金融商品を「売る」のではなく、真のソリューションの提供を

―お客様はどういう方が多いですか?

世代でいえば、40代から60代の現役世代が多く、それに次いで、20代・30代と70代以上が同じくらいのボリュームです。

最近は証券会社をお使いの方々も、40代・50代では従来の大手証券ではなく、楽天証券やSBI証券といったネット証券を使われている方がほとんどです。その方たちが「被相続人」となる段階になって、1000万円単位の運用についてアドバイザーを求められる時に、私たちのような独立系FAの出番となるのです。相続人である親御さんの時には大手証券などに任せられていた資産が、こちらに託されるということになります。

 

―お客様に提案する際、心がけていることや強みは何でしょうか?

マーケティングの世界に「クロスセル」という言葉があります。他の商品も合わせて購入いただき、顧客単価を上げることで、ハンバーガーと一緒にポテトをお勧めしたり、自動車販売の際のオプション装備などのイメージですね。単なる併売とは異なり顧客満足の向上にもなるのですが、金融商品においても、その方にとって真にソリューションとなり得るよう、投資商品や保険などを柔軟に組み合わせて提案させていただいています。これを最適に行えるのは、私たち独立系FAの強みですね。

ご提案においては、若い方であれば、保険商品はわずかの保険料で大きな保障を得られる、いわゆるレバレッジ効果の高い商品として活用をお勧めします。年齢に応じて必要な保障と、同時にインフレ率も加味してご説明するのです。その一方で、若いうちから自分で貯める力を投資信託などの運用で身につけておき、相続などで資金が潤沢になったら保険商品を投資商品に切り替えていきましょうと。特にサラリーマンの方にはそういったお話をすることが多いです。これが経営者の方であれば、保険商品の徹底活用をお勧めしますし、最近注目なのは、変額定期保険ですね。法人契約の場合は1/2が損金算入できるので、その分をまた投資に回すこともできるでしょう。運用のプロとして、さまざまな手法を組み合わせ、最適なご提案が可能です。

 

投資信託だけでなく、投資の多様な選択肢を知ってほしい

―お客様に接する際の、こだわりは何かございますか?

他社批判はしないということですね。その方がよいと思って購入されている金融商品へのコメントも、たいへん気を使うところです。お客様によっては、ズバリと確信をついた指摘こそ求められる場合もありますし、逆にお伝えしたことで気まずいような雰囲気になることもあります。私としては、今はお持ちでいるべきではない商品については少しでも早く認識いただき、対応を一緒に検討させてもらえればと思っています。

―お客様に興味をもたれやすい商品はありますか? 2017年末から世間を騒がせた、仮想通貨などはいかがでしょうか?

関心は一巡して、もう下火に思えますね。注目を集めた時点で試された方で、損されてしまわれたケースが少なくなく、よくない印象がついてしまったかもしれません。お問い合わせもなくなっていますね。
不動産投資なども活用できると面白いのですが、お客様のほうで、初期投資や運用の継続について疑念をもたれてしまっている場合がよく見受けられます。個人の相場観にもよりますので、感触を見ながら関心をもたれそうであればご提案もしています。また、海外不動産投資も面白いのですが、2000~3000万円は必要なイメージがあるようで、端から検討もされない傾向があります。実際は予算的にも幅がありますので、現実的な選択肢ではないかと思いますね。

私たちの仕事は、独立性・中立性をもって幅広く、その方に合った運用方法をご提案することですが、一般には資産運用というと投資信託が種類も多く、イメージしやすいようです。実は、本当にさまざまな商品がありますので、食わず嫌いをせず、まずは聞いていただけるとよいのではないでしょうか。

 

―資産運用で失敗される方というのは、何が問題なのでしょうか?

失敗という場合に2パターンあって、まず、購入金額よりも下がっているタイミングで売却することで、金額的に損が出てしまっている状態があります。もう一つは、高値の時に購入してしまって、その後、どうしようもなくて放ってある、いわゆる、塩漬けにされている状態です。どちらの場合も問題点は、「分散が足りなかった」ことと「短期と長期の区別が付いていなかった」ことに集約されます。

たとえば、高値づかみして10年間塩漬けにされているとすれば、確かに失敗でしょうが、それは時間の分散が足りなかったということ。一括で投資してしまったことが問題で、その商品やそれを選んだことの失敗では、必ずしもないわけです。

もう一つの、短期と長期を分けて考えるというのは、10年間、塩漬けだとしても、もともと20年のスパンで考えていれば、10年もまだ半分でしかなく、その時点で値下がりしているのも過程の出来事だと思えるでしょう。20年くらいの長期で考えればよいものなのに、短期的に見てしまっているから問題であり、失敗してしまったということになるのです。

 

 

運用のプロとして中立的に、目の前のお客様にとっての「最適」を提案

―お客様との感動エピソードなどあれば教えてください。

ある経営者のお客様に、3000万円を投資していただいて、1ヵ月で600万円の利益が出たのですが、そのまま置いておけばまだ増えるのに、売却を希望されたことがありました。後日、自動車で移動中に、ふと指差された先にあったのが、風力発電機でした。よくあるプロペラ型ではなく、縦軸型というスタイルのもので、「先日の600万円はあれになったんだよ」と言われて驚きました。その設備の購入資金に充てられていたのですね。私がお勧めした投資で得られたお金が、目の前の発電機になっているというのは、ちょっと感動でしたね。

 

―なかなかお金が貯まらない、投資ができないと悩まれる方に、アドバイスをいただけますか?

金融業界で働く者の間では、よく「人で売れ」と言われます。金融商品自体は制約もあって勝手に作れるものではないですし、「何を」買うかよりも、「誰から」買うかが決め手になるから、営業マンの人柄や信頼関係が大切だといったことです。私としてはそれに加え、「中立的にアドバイスできる」ところをお客様には評価いただけたらと思うのです。大手金融機関の名刺を持っていれば誰でもよいわけではなく、真の運用のプロフェッショナルをぜひ見つけて、相談いただきたいですね。

また、現在お持ちの金融商品や保険が、ご自分にとって本当によいものなのか、不安や疑問を持たれている方は多いでしょう。独立系FAの私たちであれば、それがどちらの金融機関の商品であるかは関係なく、中立的に、真実をお伝えできますので、一度分析させていただければと思います。

田中 久登 (たなか ひさと)さんのプロフィール

近畿大学法学部法律学科卒業後、岡三証券株式会社に入社、大阪の富裕層地域での資産運用コンサルタント業務に携わる。2013年、JPモルガンアセットマネジメント株式会社のアテンドによるシンガポール研修に参加。日本の金融ビジネスが海外と大きく異なることに疑問を感じていた時にIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)というサービスを知る。その後、退職を経て、株式会社バリューアドバイザーズの設立に参画。証券外務員1種、相続診断士。

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