「結婚なんて紙切れ一枚の違いだよ!」…そんなわけない、事実婚の制度

事実婚とは?

以前よりも増えてきている事実婚ですが、法律上の夫婦(事実婚に対して法律婚と言います)とどのような点で異なるのでしょうか。
今回はその違いについてお伝えします。

その前に事実婚の意味を確認しましょう。
事実婚とは「主体的・意図的な選択により婚姻届けを出さないまま共同生活を営むこと」を指します。
同義語に内縁という言葉がありますが、これらは完全に同じ意味ではありません。
内縁とはより広義的な意味であり、内縁の中に事実婚も含まれるとされています。
例えば主体的・意図的な選択ではなく、婚姻届けを出したいけれど、
事情があって出せない関係の人たちは事実婚ではないですが、内縁に該当します。

それでは、法律婚と事実婚の違いを見て行きましょう。

法律婚と事実婚の違いは?

・夫婦別姓
日本では法律婚の場合は、夫婦同姓を義務付けています。
余談ですが、苗字は夫でも妻でもどちらの氏を名乗っても良いのです。
婚姻届けを出す際に「婚姻後の夫婦の氏」の選択欄に「妻の氏」とチェックをするだけで、
その後夫は妻の姓を名乗ることになります。(この場合は戸籍の筆頭者は妻になります。)

結婚して名字が変わった男性を見ると「養子に入ったのかな?」と思いがちですが、案外そうではない事が多いのです。
話を戻して、一方で法律上は夫婦として認められていない事実婚は、氏が変わることはありません。
結婚をすると苗字が変わることがお互いに嫌な方や、旧姓を名乗りたいという方はそれらを理由に事実婚を選択するそうです。

・相続権がない
法律婚の場合、配偶者は最低でも2分の1の割合で相続権を得ることが出来るのに対して、事実婚の場合は相続人にすらなれません。
(親族などの相続人が他にまったくいないケースでは、特別縁故者として内縁関係のある者が、家庭裁判所に認定された場合には、特別に相続権が発生する可能性があります。)

万が一の時にパートナーに財産を相続させたいのであれば、遺言を残したり、生前贈与を行ったりする必要があります。
また、生命保険も保険会社によっては保険金の受取人になれる場合もあるそうです。

・その他
婚姻の届出をしないまま子が出生したら、子の親権は母親が取得します。
ただし、認知をすれば、父親に親権を移すことも可能です。
また、戸籍は母親の戸籍に入りますが、父親の戸籍に入る為には家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立」を提出することで父親の戸籍に入り、
父親の氏を名乗ることが出来ます。

一方、事実婚でも、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者は日本年金機構の審査に通過すれば、年金受給権が認められています。
また、関係解消時の慰謝料請求権や財産分与請求権も認められています。

 

結婚契約書とは?

話は本題から少し外れますが、最近は事実婚の場合でも法律婚の場合でも、
あらかじめ結婚契約書(婚前契約書)を交わすカップルも増えているそうです。
内容については人それぞれですが、
抽象的なものから具体的なものまで幅広く盛り込んでいる契約書もあります。

抽象的な内容の例:常に相手を信じて尊重する。家族に何か起こった場合は最大限努力をする。

具体的な内容の例:料理の味付けについて。記念日は必ず○○でお祝いをする。など

上記の様な例もありますが、やはり現実的な内容で最も多いのは、財産についてかと思います。
例えば法律上は夫婦の給与などは結婚前の者についてはそれぞれに帰属しますが、結婚後は共有に属すると考えられています。
しかし、これは夫婦の財産契約書を結ぶことで個別にルールを決めることが出来ます。

結婚契約書、財産契約書いずれにしても後々揉めてしまわないように、結婚前に締結することをお勧めします。

 

 


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