ノーベル賞で話題のがん治療薬オプジーボって、どんな薬?問題点は?

画期的ながん治療薬「オプジーボ」を生み出した研究を成功させたとして、京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)先生がノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

オプジーボはいろいろな種類のがんに効き、多くのがん患者に希望を与える薬だと賞賛される一方、

価格の高さが問題視され、異例の価格引き下げが行われた薬でもあります。

がんの治療方法やオプジーボの価格、問題点について考えてみましょう。

 

 

これまでのがん治療方法とは全然違う、とオプジーボが言われる理由

 

がんの治療法には手術、抗がん剤治療、放射線治療、そして免疫治療の4つがあります。

手術はがんを切り取ってしまうもので、一般的な手術のほかに内視鏡手術があります。

抗がん剤治療はがんに効く薬を点滴や注射で投与するもので、放射線治療はがんに放射線を照射する治療法です。

 

免疫治療は自らの身体の免疫細胞の免疫細胞によってがんを治す方法で、この免疫治療に使うのがオプジーボです。

免疫細胞は病原菌などを攻撃して病気から身体を守ってくれる働きをし、がん細胞にも最初のうちは攻撃をします。

しかししばらくするとがん細胞への攻撃をストップさせられてしまっていました。

オプジーボは免疫細胞のがん細胞への攻撃をストップさせないよう、作用します。

がんそのものに対してではなく自身の免疫細胞に働きかけるというところが、手術、抗がん剤、放射線といった従来の治療法とは根本的に異なっています。

 

 

オプジーボは、いくら?全額を払わなければならないの?

 

他の薬と同じようにオプジーポにも副作用や効く・効かないといった問題がありますが、もっとも大きな問題とされたのは価格の高さです。

2014年の発売当時は100ミリグラムで73万円という価格が設定され、肺がんの治療で使うと1か月300万円、1年では約3500万円かかるとされました。

あまりにも高額なため2017年2月には約半額の36万円、さらに2018年4月には2割引の28万円に値下げがされた、という経緯になっています。

それでも前に書いた肺がんの治療で考えると1か月115万円、1年では1400万円かかる計算になります。

 

しかしオプジーボは現在、皮膚がんや肺がん、胃がんなど6種類のがんに対する治療法として、保険適用されています。

保険適用ということは健康保険が使え、費用負担は1~3割で済むということ。

もちろん高額療養費の制度も使えますから、自己負担額は低く抑えることができます。

食道がんをはじめとする3種類のがんについても、2018年度中に新たに保険適用申請が行われる予定で、

去年に申請済みのものと加えるとオプジーボが保険適用で使用できるがんは10種類にまで拡大する見通しです。

 

さらにオプジーボは他の種類のがんについても効くことが期待されていて、研究が続けられています。

今後も効果が証明されしだいオプジーポによる治療が保険適用となるがんに種類は増えていき、多くのがん患者の命を救うとされています。

 

 

オプジーボを使いたい!誰でも使える?問題点は?

 

本庶佑先生のノーベル医学・生理学賞受賞によって多くの病院でがん患者や患者から「オプジーボを使いたい」という声があがっているそうですが、

オプジーボは保険適用になっているがんならば誰でも使えるわけではありません。

オプジーボによる治療が行われるのは皮膚がんであれば悪性黒色腫に限られるし、肺がんや胃がんでは手術が不可能であったり再発や転移をしていたりする場合のみとなっています。

 

またオプジーボが効く人は2~3割程度で、実際に治療してみないと有効かどうかの判断がつかない、といった問題点もあります。

保険適用となっていない種類のがん患者などに自由診療としてオプジーボによる治療を行っているクリニックの中には、薄めて使用しているところもあるそうです。

「がんはオプジーボで治る」という情報だけを鵜呑みにすると大変なことになる場合があるので、注意しましょう。

 

 

オプジーボについてはもちろん、他の治療法でもこれからもますます研究が進み、多くのがんが治るようになると良いですね。

また情報は正確にキャッチし、振り回されないように注意しましょう。

 


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