超低金利時代だからこそ、始める積極的な運用方法とは

サッカーで磨いた精神力や営業職経験を土台に、大手損保会社でみっちり修行した上で保険代理店を営んだキャリアをもつ、樋口継さん。後編では、FPとして多く受けるお金のお悩みや、その解決策について伺います。

 

いちばん聞くお金の悩みは、子どもの教育資金と自身の老後資金

―FPとして受けるご相談は、どのようなものが多いですか?

私自身と同じ、30代の子育て世代からの学資保険のご相談は多いですね。大学や専門学校の入学金や毎年の学費などに充てるための積立商品で、世帯主の死亡保障など、万一の際への備えも持ち合わせたものです。保険でなくても、ご自分で預金として積み立てていくのでもよいのですが、それだと何かの時に取り崩して使ってしまえるので、それをリスクと考える方には、あえて保険として流動性を持たせずに積み立てるのはお勧めです。私も、子どもが生まれて間もなく掛け始めました。ちなみにお子さんが生まれる前から備えたい場合には、ご自身の終身保険に学資を目的として加入する方法もあります。

 

―そのほかには、いかがでしょう。

老後資金のご相談も多いですね。私はもともと損害保険の取扱が多かったのですが、その更改のために訪問した際に、合わせてご相談を受けたりしています。

日本はすでに人口が減り始めている、少子高齢社会です。社会保障も、年金の支給額が減らされたり、支給開始年齢が引き上げられたりしていくのは避けられないでしょう。政府も、自助努力で老後に備えるのを奨励して、NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)など、個人で投資する商品に対して税制優遇策を用意してきています。お客様お一人おひとりでも、真剣に向き合って、備えを考えていただくべきではないかと思いますね。

為替リスクや各国の経済成長をふまえ、外国株式型ファンドの変額保険にトライを

―子どもの学費に、自身の老後資金。備えるには、どのような商品がよいのでしょうか?

私がご提案しているのは、「円建て終身保険」「外貨建て終身保険」「変額保険」の3つを比較検討いただくことです。それぞれにメリットがあるとともに、デメリットもたしかにあります。円は超低金利なので増やすのは難しいですし、外貨建ては為替リスクの問題があります。変額保険は、保険会社が預かった保険料の一部を株式や債券に投資して運用していきますから、投資の成果によってはマイナスもあり得ます。そうしたデメリットもお伝えした上で、お客様に選んでいただくようにしていますね。

 

―中でもお勧め、となると、どの商品になりますか?

「変額保険」をお勧めすることが多いでしょうか。ほかの2商品を見ると、外貨建ては円建てよりは金利が高いですが、円安傾向にある今の為替動向では、為替変動リスクも大きいのです。変額保険であれば、投資信託で投資先を選ぶことのできる商品もありますから、安全性も加味できます。投資先は日本株、外国株、債券、REIT(リート、不動産投資信託)などいろいろありますが、中でもお勧めするのは外国株や外国株式型投資信託です。

この運用が、積み立ててあれば、毎月一定額を投資することになりますが、同じ投資対象に対して定期的に一定金額ずつを購入するのは、一定数量ずつを購入するよりも長期的には有利であるといわれる、ドルコスト平均法という考え方があるのです。

また、人口が頭打ちの日本に対して、アジアなどの新興国はこれからまだまだ人口が増えていきます。人口が伸びれば経済も成長していきますので、右肩上がりが見込めるでしょう。外国株式型投資信託であれば、そうした新興国の優良企業などに投資されていきますから、ドルコスト平均法も踏まえると、10年20年30年先を見据えれば、比較的リスクを抑えながら増やせる方法なのではないかと思います。

 

―生命保険というと保障の意味合いが強そうなイメージがありますが、資産を増やせるものですか?

おっしゃるとおり、保障がメインの商品ではありますが、解約返戻金といって、途中解約した場合に戻ってくるお金があります。これを、払い込んだ金額よりも多く受け取ることが、加入期間と解約のし方によっては可能だったりするのです。そうしたことも、ご相談の際にはアドバイスさせていただいています。

 

―ご自身は、一般的な営業職からの転身ですが、お金や保険についての勉強はどのようにされたのですか? 一般の方々でも学べるやり方があるでしょうか?

私自身は、本やアプリでの独学が主ですね。どなたにも取っ付きやすい本というと、ロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』あたりでしょうか。それに、資格の勉強も役立ちます。日本FP協会の技能検定は、3級はFP業務に従事していない方でも受けられますし、ライフプランニングやリスク管理、金融資産運用、不動産、相続などひととおりの分野が網羅されていますから、基本的な知識を身につけるにはよいのではないでしょうか。

 

―最後に、読者へのメッセージをお願いします。

老後資金を自助努力で準備するというのは、これからの時代、当たり前のことになっていきます。豊かな老後のためにも、単に貯める「貯蓄」だけでなく、比較的安全にお金を増やす「投資」の知識を身につけていただければと思います。FPとして、そうしたお手伝いもぜひ行っていきたいですね。

樋口さんの「キャリア」に関する記事はこちら

樋口継(ひぐちけい)さんのプロフィール

2005年国士舘大学卒業後、Jrユースからプレイしていたサッカーのコーチ職を経て、法人向けオフィス事務用品販売のオフィス・デポ・ジャパン株式会社に勤務。法人営業に携わるが、4年後、リーマンショックを機に営業部が解散することとなり、転職を決意。当時のクライアントに三井住友海上保険の代理店制度を紹介され、3年間同社での修行を経て、2年間代理店を運営。2017年、株式会社ファミライズ・アークに入社。3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

樋口継さんへの問い合わせはこちら


タグ一覧