一度の人生 使うことも勧めるホンモノのFP

調理師という異業種から、
出産を機に30代で金融の世界に入ったファイナンシャルプランナーの石橋夏実さん。
ご自身も、出産の過程で収入面の不安を経験されたことから、
同じような境遇の方に、お金の安心を与えられるようなアドバイスを心がけているそうです。
後編では、多く寄せられるお悩みの中身や、子育て中のご自身の経験も踏まえ、
30代くらいでのお金の考え方について伺います。

支出を必要なものとそうでないものに分けることからスタート

―読者は30代が多いのですが、石橋さんも同世代ですね。

そうですね、今37歳です。
セミナーなどで相談をいただくのも、30代の女性が多いです。
私自身もそうだったのですが、
やはり「何か、お金のことを考えなきゃいけないのでは」と思い始める年代なのではないでしょうか。
20代や学生の方もセミナーには見えますが、まだ生活実感がリアルではないというか、
知識としてのお金の情報を求めて来られている気がします。
30代だと自分や家族のこととして考え出すので、真剣ですしお悩みもより具体的ですね。
相談の第一歩は「家計の悩み」です。

―どのように解決していくのですか?

貯金ができない、家計をどうやり繰りすればいいのかとよく聞かれますが、
「必要な分だけはきちんと取っておいて、あとは好きに使ってもよいのでは」とお答えしています。
まずは家計簿をつけて、必要なお金とそうでないものを書き出して、
必要ないと思われる出費を抑えていくのです。
肝心なのは、「必要でないものは人によって異なる」ということ。
趣味の部分など、他人から見たら削ってもいいのではと思われても、
本人にとってはとても重要だったりするものです。
本人が優先順位をつけて、よく考えることが大切です。

未来の安心への備えができたら、残りは気にせず使って心に余裕を

―必要なもの、は何でしょうか?

お子さんがいれば、お金がなくても教育費は何とかして捻出しようとされますね。
それはどちらの親御さんにも共通しています。
目安としては、一人の子育てに1500万円かかるとも言われますが、
それだけのお金がないと子どもを育てられないわけではありません。
重要なのは金額ではなく、その分を分けて確実に「取っておく」ことです。
当たり前のようですが、できていない方が意外にも多いのです。
預貯金でも学資保険でもよいので、とにかく強制的に取っておく必要があります。

あと必要なのは、夫婦のための老後資金ですね。
それらを確保しておきさえすれば、あとは好きに使ってかまわないと私は思います。
足りなくなったら対処を考えればよいのです。
家賃や住宅ローン、通信費などは改善しやすいので、そういったところを見直していけば、
「未来の安心」に向けての準備ができます。
同時に「今の自分たち」のことも大事にして、使うお金は使っていけば、
心の余裕も自然と生まれるのではないでしょうか。

―30代の方からのご相談で、男女での違いはありますか?

セミナーのご参加でもメールでのお問い合わせでも、女性のほうが多いんです。
ご夫婦であれば奥様が情報収集されるのかもしれませんが、
女性限定セミナーも活況を呈していますし、
オープンにしても女性の参加者のほうが目立ちますね。

結婚を意識されている方、いわゆる婚活中では、男性のほうがご相談が多いです。
その段階では経済力がステイタスですから、家を買っておいたほうがよいのかとか、
ある程度お持ちの資産を今の運用でよいのかといったご相談ですね。

いずれにしても30代は、ある程度社会でもまれて生活がひと段落するタイミング。
皆さん、「このままでいいのかな」と、ふと考えられるのでしょう。
それまでは結婚に興味のなかった方でも将来が不安になったり、
結婚されていれば子どもを持つことをそろそろ考えてみようかと、
この先のことが見え始める世代です。
住宅を購入すれば35年ローンですから、
35年先の自分や家族のことも否応なしに考えさせられますよね。

お金の対策は早いほど〇。悩まず失敗を恐れず、まずは始めてほしい

―そうやってお金のことを考えるときに、気をつけるべきことを教えてください。

30代といわず、将来を考えるとお金のことを始めるのは早いほど良いです。
ですから、考えるだけでなく、ぜひ行動をすぐに起こしてもらいたいですね。
その時の1年が、後になって10年分くらいの開きになるくらい影響するものなんです。
お金の行動は投資でも見直しでも節約でも、少しでも早いに越したことはありません。

踏み出せないのは、一つには情報があふれ過ぎているからでしょう。
たとえばネットで検索すると情報と共に、それに対する意見もさまざま出てきます。
100%好意的ではなく、必ずアンチや反対意見も目に付くもの。
そうすると、こんな意見があるのならちょっと止めておいたほうがいいのかも、
などと思ってしまうんですね。
「やってみたい」「でも怖い」「ちょっと勉強してみよう」「でもまだ不安」、
そんな負のループで前に進めない方がけっこういらっしゃいます。

私は、失敗を恐れずにまずはやってみることをお勧めしたいんです。
「やる」と「やらない」の違いは大きいです。
失敗から学べることもやり直すこともできますから、ぜひ始めてほしい。
これは、私自身の反省から言えることです。
30過ぎて初めてお金のことを考えるようになりましたが、
今まだ37歳でも、もっと早くから始めておけばよかった、そうすればもっと楽だったのに、
という思いが強いのです。
みなさんには知識や方法をもっと知ってもらいたいので、
不安も取り除いて差し上げられるようにセミナーでも、
ご相談でもお一人おひとりにしっかりと対応させていただいています。

―お仕事のやりがいは何でしょうか。

お客様に「石橋さんに任せてよかった」と言われる言葉が何よりもの励みですね。
ファイナンシャルプランナーの仕事は、一度のアドバイスで終わるものではありません。
ご相談を受けて見直しをかけ、新たな商品を始められても、
しばらくすると社会環境や経済の変化も合って不安が出てきたりもするものです。
もちろん、ライフステージが変われば見直しが必要になります。
結婚、出産、子育てに、住宅購入、親の介護、相続など、その時々のお金の悩みが出てくるもの。
一人の方の生涯にわたって長くお付き合いをしていくのが、この仕事です。
お客様には安心して、継続的にご依頼をいただけるよう、
その場限りでなく本当の意味でお悩みを解決し続けていきたいですね。

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石橋夏実(いしばしなつみ)さんのプロフィール

高校卒業後、調理師学校に進み、アルバイトを含め12年ほど調理師として飲食業に従事。
結婚・出産を機に始めた保険営業の仕事で金融の世界に。
2014年より独立型ファイナンシャル・プランナー(FP)として株式会社エル・ディー・ラボに所属。

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