「モノ消費」・「コト消費」から「トキ消費」の時代へ

お金を支払って物やサービスを購入することを「消費」と言いますが、
近年この「消費」に対する考え方に変化が出て来ました。
今回は3つの消費について取り上げたいと思います。

「モノ消費」

一般的に消費と考えると、単純に物を買い、サービスを受けるという機能を購入していることを指します。

この様な物やサービスの機能に対する消費を「モノ消費」と言います。

例えば、家電を購入、車を購入、旅館に宿泊、レストランで食事をするなどです。
消費者も欲しいものが手に入ればそれ以上を求めませんし、物やサービスを提供する側も求められるものだけを供給すれば良いのです。
恐らく戦後の復興からバブル崩壊くらいまでの日本の高度経済成長期の間はこれが主流だったはずです。

「コト消費」

しかし、バブルが崩壊し日本の経済も落ち込んでいく中で、物やサービスを販売するには、既存の提供方法では消費者の財布の紐がきつく、
生き残ることが難しくなってきました。そこで出てきた考え方が「コト消費」です。

こちらは単純に物やサービスの機能を購入するだけのではなく、経験を購入するための消費活動です。
例えば、旅行をする際の宿泊先に食事が付いているだけではなく、次の日の朝食で食べるパンを自分で作ってもらうといった体験サービスや、
ショッピングセンターに迷路やスケートリンクなどのアトラクションサービスを導入するなどといったサービスです。

つまり、単純に物やサービスを提供する小売・サービス業だと他社に差別化が出来ないので、独自の付加価値をつけるといった点が特徴です。

第三の消費活動「トキ消費」

そしてそんな「コト消費」に続いてITやSNSの発展により新たな消費活動が注目され始めました。それが「トキ消費」です。

これは同じ志向を持つ人々と一緒に、その時、その場でしか味わえない盛り上がりを共有することを楽しむ消費行動です。

代表される消費活動はアイドルのライブ、スポーツ観戦、ハロウィンなどです。
しかしこれらは、一見すると「モノ消費」に見えます。

それでは何が違うのか、答えは消費に対する価値が別の対象になっているという点です。
先ほども申し上げた通り、「トキ消費」は盛り上がりを共有することを楽しむ消費行動です。

「モノ消費」が主流の時代は、スポーツ観戦やアイドルのライブチケットはそのスポーツもしくはアイドルが見たいので、購入していました。
しかし「トキ消費」はそれ以外にもみんなと同じ時間を共有することに重きが置かれているのです。

これからの経済活動は…?

「トキ消費」についてを改めて考えると、盛り上がりを購入していることになります。
実際にはスポーツ観戦チケットなどの「モノ消費」を購入した付加価値なのですが、
今後はこの付加価値に対してのビジネスが主流になるかもしれません。

それではこの盛り上がりという付加価値にどうやって値段が付けられるのでしょうか?
これは非常に難しいテーマで実際には貨幣での値付けが不可能だと思います。
つまり、これからの時代は物やサービスの価値を貨幣以外で計るしかない状況になるはずです。

その様な状況になった時、本当に価値のあるものは、その「トキ消費」を行うに値する人間性なのかもしれません。
というのも、お金で盛り上がりを購入したところで、和を乱すような行為をする人や雰囲気に水を差すような人は必要ないからです。
そこで必要なのは、お金ではなく、みんなと一緒に盛り上がることが出来て、共有している時間を大切に出来るマインドです。

既にSNSでは投稿に対して「いいね!」を獲得することが一定の価値となっています。

数年後か数十年後かわかりませんが、いつか「良い人」ほど富を得られる世の中になっているかもしれません。


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