土地の値段

先日、国道交通省より2019年の「公示地価」が発表されました。
4 年連続での上昇ということでなかなか景気の良い話ですが、そもそも公示地価とは何なのでしょうか?

不動産の時価=公示地価?

公示地価は公示価格とも言われます。
これはその年の1月1日時点の正常価格を複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格です。

わかりにくいので簡単に説明するとその年の1月1日時点の土地の時価ということです。
それでは実際にはその通りの価格で売買されるのでしょうか。
実はそうでもないのです。まず、公示価格が算定されているのは全国でもわずか2万6,000地点です。

ですから、ほとんどの土地は公示価格の正確な価格はわからないのです。
また、仮に公示価格がついている場所だったとしても、「公示価格よりも高く買うよ!」という人がいれば、高く売買されますし、「公示価格なんてとても払う人はいないだろう…」という場所であれば、当然安く売買されます。

結局は時価と言っても、売買価格を決める上での目安に過ぎないということです。
とは言え、不動産市況さらには日本経済の指標になっていることは間違いないので、政府関係者・金融機関・不動産業者などは注目しています。

今年の日本の不動産市況は?

冒頭申し上げたように、日本全体の公示価格は4年連続で上昇しており、今年は前年比1.2%上昇とのことです。

特に住宅地に関しては地方圏でも伸びが顕著であることが話題となりました。
この背景としては住宅ローンが低金利で、これが下支えとなっているようです。
一方で東京の中心地の方は伸び率が鈍化しているとの結果も出ています。
個人の購入出来る金額の範疇を超えたということや供給量が増えすぎたということなどが原因の様です。

確かに最近は臨海部だけでなく、都心部にもタワーマンションなどが建築されるようになってきているので、これは納得の理由かと思います。

数年後の不動産市況は?

ここ数年不動産のピークは「東京オリンピック」と耳にすることが多いです。
本当なのでしょうか!?
実際には不動産の市況はそれほど単純ではないかと思います。

「東京オリンピックが開催されると景気がよくなるから土地が上がる」確かにそれはあるかもしれませんが、一方で景気が良くなれば金利も上がるので、住宅ローンの金利も上昇するため、地価が下がると考えることも出来ます。

しかも地方都市にしてみれば、東京オリンピックの恩恵はあまりないはずなので、それで地価が上がることは考えにくいです。
従って短期的な目線で不動産市況を語るのは難しいのです。

さらにその先の不動産市況は?

しかし長期的な不動産市況を考えると、ある程度予測はつきます。
それは、不動産市況に大きな影響を及ぼすものは「人」だと考えられるからです。
不動産の保有目的は自分で使うか、誰かに貸すかです。
ですからどちらにせよ、その「人」がいなくなれば、価値は下がるのです。

そういう意味で日本で最も人がいなくならない場所が、一番価値としては安定すると考えられています。
つまりそれが東京の中心地なのです。投資家はそれがわかっているので、都心の一等地はあまり値崩れしないのです。

もしくは下落してもすぐに価格が戻ってきます。日本全体の地価はバブル期の4割程度にしか回復していないにも関わらず、日本一地価の高い銀座の山野楽器の土地は既にバブルのピーク時を超えていることからも、それが分かります。
逆に地方の場合は人口流出が激しいので、そういった場所は今は上昇してもこれから下がる可能性は大いにあると思います。

さらに、先ほど地方の住宅地が上昇していると申し上げましたが、それはあくまでも公示価格の算定をした場所に過ぎません。
この公示価格の鑑定対象地は地方でもある程度栄えている場所です。(「郡」はあっても「村」は無さそうです。)

つまり、深刻な過疎化が進んでいる様な村は出ておりませんので、実際のところ、日本全体の不動産市況が良くなっているとは言えないのです。
むしろ鑑定対象外の場所は人が減っているので、地価も下がっていることでしょう。

このように考えると、少子化の問題は色々な分野に影響があるということがわかります。


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